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養育費の遅延損害金について

養育費の遅延損害金について

遅延損害金とは

遅延損害金とは、決められた期日までに支払いが行われなかった場合に、相手に対して支払わなければいけない損害賠償金のことを言います。延滞金とも呼ばれます。

つまり、遅延行為が発生したことによる、相手方への迷惑料という意味合いで使用されるケースが一般的です。

もちろん、遅延なく支払いが行われている場合は、遅延損害金が発生することはありません。


消費者金融や銀行でお金を借りて、支払期日にお金が用意出来ないなどの理由で支払いが滞った場合は、原則、契約に基づいて遅延損害金・延滞金が発生します。

借金などの金銭債務(金銭の支払いを目的とする債務)は、支払いが遅れた場合に、損害賠償として法定利率で定められた金額を取ってもよいと法律によって認められています。


金銭債務の特則 民法第419条1項

  1. 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

遅延損害金は、主に金銭消費貸借契約(金銭の貸し借り)にかかわる用語として使用されます。


それでは、離婚をした相手が養育費の未払い・不払いをした場合に、遅延損害金・延滞金を請求することは可能なのでしょうか?

このページでは、このような疑問に答えるべく解説をしていきます。




養育費の遅延損害金・延滞金負担義務

養育費は、子どもの成長に関する生活費(衣食住に関する費用や教育費、適度な娯楽費など)です。


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養育費は金銭債務であるため、定められた期限までに支払わない場合は、通常の借金と同じように遅延損害金が発生します。

一般的には、延滞金延滞料と呼ばれています。


現在、民法上の遅延損害金の利率は、年5%と定められています。

ただし、2020年4月1日の民法改正に伴い、遅延損害金の法定利率は年3%に引き下げられます。


法定利率 第404条

利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。


民法第419条に記されている「法定利率」とは、民法第404条に定める年5分(年5%)のことを指します。


通常、短期間の不払いで遅延損害金を請求するケースは少ないかと思いますが、遅延損害金は、原則、不法行為があった日(起算日)から求めることが認められています。

そのため、支払いが少し遅れたというケースでも、養育費の請求をすることは可能です。

つまり、養育費の支払いが滞った場合は、「養育費 + 遅延損害金」の支払い義務が生じます。


養育費の支払義務者が、長期間にわたって支払いを放置していた場合は、かなりの高額になる場合もあります。


ただし、義務者の事情によっては減額も考慮に入れる必要があるかもしれません。


金銭消費貸借上の遅延損害金

ちなみに、金銭消費貸借(消費者金融などからの借入れ)上の利息・遅延損害金の約定利率は、利息制限法という法律によって定められています。


利息制限法

利息制限法とは、金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約及び賠償額の予定について、利率の観点から規制を加えた法律のこと。


利息制限法の上限金利を超える部分は、原則無効となり、支払い義務はありません。

利息制限法の上限金利は、元金に応じて変わります。


元金 上限利率
100,000円未満の場合 年20%
100,000円以上1,000,000円未満の場合 年18%
1,000,000円以上の場合 年15%

貸金業者は、この利息制限法に基づき貸付時の元金に応じて15~20%の上限金利内で貸付けを行う必要があります。


また、個人間でお金の貸し借りをする際も、利息制限法が適用されます。


養育費の遅延損害金の利率

養育費の遅延損害金の利率は、離婚協議時に取り決めをしているかどうかで異なります。


遅延損害金の取り決めをしている場合

養育費においても遅延損害金の利率に関しては、利息制限法が適用されます。

そのため、利息制限法の上限金利内であれば、両者の合意に基づいて自由に設定することができます。

離婚協議時に決定した内容は、離婚協議書に残しておく必要があります。


しかし、現実には離婚協議の場において、養育費の未払いに対する遅延損害金の取り決めをしていないケースがほとんどです。


遅延損害金の取り決めをしていない場合

離婚協議時に、養育費の遅延損害金の取り決めをしていない場合でも請求することが可能です。

この場合、民法第404条に基づき、その損害賠償の額は法定利率(5%)が適用されます。


つまり、離婚した相手と養育費の取り決めをしている場合は、利息制限法の上限利率内(15~20%)となり、養育費の取り決めをしていない場合は5%となります。


遅延損害金の計算方法

遅延損害金の計算方法

通常、遅延損害金は、支払日の翌日を起算日として日割計算をします。


起算日とは

起算日とは、期間を計算し始める第一日のこと。


遅延損害金の計算方法は、次の通りです。


日割計算式

遅延損害金 = 遅延金額 × 遅延損害金年率 × 遅延日数 / 365


遅延損害金の利率が年5%で、毎月5万円の支払いが約定日から100日遅延している場合の遅延損害金額は次の通りです。


遅延損害金の事例1

5万円 × 5% × 100 / 365 = 約685円


同じ条件で2年間、支払い遅延が続いた場合は次の通りです


遅延損害金の事例2

5万円 × 5% × 730 / 365 = 5000円


まとめ

養育費の支払いが少し遅れた程度であれば、遅延損害金を請求する必要性は低いと言えますが、あまりにも悪質な場合は遅延損害金の請求も視野に入れるべきかもしれません。


養育費の遅延損害金は、離婚の話し合いの場で取り決めをしていなくても請求することが出来ます。

ただし、取り決めをしていない場合は、している場合に比べて請求できる額が少なくなります。


そのため、離婚を検討される場合は、養育費の金額や支払期間、支払い方法などと共に遅延損害金についても話し合うことをおすすめします。


養育費の遅延損害金は、離婚協議書に記載しておくことでより確実なものとなります。

離婚協議をする際は、忘れずに遅延損害金の条件を取り決めておきましょう。


また、公正証書しておけば、相手が養育費の支払いを怠った場合に強制執行が可能になります。


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養育費の支払いが滞った場合は、養育費と併せて遅延損害金も請求することが出来ます。

自分一人で養育費・遅延損害金の請求を行うのはハードルが高いという人は、法律の専門家である弁護士に相談するようにしましょう。


養育費 ポイント
  • 養育費の未払いには遅延損害金が発生する。
  • 遅延損害金の取り決めをしている場合の利率の上限は年15~20%。
  • 遅延損害金の取り決めをしていない場合の利率は年5%。

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