扶養料について
扶養料とは
扶養料とは、扶養義務を負う者が、扶養のために被扶養者に給付する金銭のことを言います。
親族の扶養義務については、民法で次のように定められています。
民法877条1項 (扶養義務者)
- 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
引用元:wikibooks.org
直系血族とは、祖父母、父母、子、孫などを指します。
これに加え、2親等にあたる兄弟姉妹も扶養義務が生じます。
扶養権利者(子どもなど)は、要扶養者であることが求められます。
要扶養者とは
要扶養者とは、何らかの理由により、労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者のこと。
また、一般的には、扶養義務者(親など)の側に扶養権利者(子どもなど)を扶養するだけの資力があることが扶養義務発生の条件とされています。
扶養権利者が子どもの場合
扶養権利者が子どもの場合は、未成熟子であることが求められます。
未成熟子は、20歳未満の未成年者を指すわけではありません。
何らかの理由により、就労が見込めないため、第三者による扶養が必要な子どものことを言います。
そのため、20歳以上であっても未成熟子に該当する場合があります。
一般的には、大学生や大学院生も未成熟子に含まれるとされています。
扶養費と養育費との違い
扶養費と養育費の違いについて、まずはこれらの言葉の意味からその違いを見ていきましょう。
扶養
辞書で「扶養」という言葉を引くと、次のように説明されています。
扶養とは
[名](スル)助け養うこと。生活できるように世話すること。「両親を扶養する」
引用元:kotobank.jp
扶養とは、自分の力で生活することが難しい者(扶養権利者)の生活を他者(扶養義務者)が援助することを言います。
この場合は、高齢者や子ども、身体障害者、病人など、幅広い年齢層を扶養の対象とします。
養育
一方、「養育」という言葉には次のような意味があります。
養育とは
- 子供をそだてること。 「 -費」
- 老人・親のいない子・病人などを保護すること。 「 -院」
引用元:kotobank.jp
一般的には、「子どもを引き取って養育する」などのように、1.の意味で使用されるケースが多く見受けられます。
2.の意味であれば、扶養と同義であると捉えることができます。
この意味からするれば、養育費は、子どもだけでなく親や祖父母も対象になるはずです。
しかし、通常、養育費と言った場合は、未成熟子の成長過程において必要になる、生活費や教育費などのお金のことを指します。
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そのため、扶養料は、「子どもだけでなく家族全般を対象とするお金のこと」を指し、養育費は、「子どもだけを対象とするお金のこと」を指すと考えることが出来ます。
扶養料と養育費は、どちらも婚姻外の監護親が非監護親に対して請求することが出来ます。
ただし、厳密には、扶養料と養育費では請求をする側の主体が異なります。
扶養料 | 養育費 |
---|---|
未成熟子から非監護親に請求するもの | 監護親から非監護親に請求するもの |
子どもが未成年の場合 | 子どもが大学生以上の場合 |
扶養料は、未成熟子から非監護親に対して請求するものとされています。
非監護親に対して、子どもに関する費用を請求する場合は、監護親によって行われるケースが一般的です。
そのため、基本的には養育費として請求されることになります。
まとめ
未成熟子の生活にかかる費用は、養育費としてだけでなく扶養料の形でも請求することが出来ます。
ただし、扶養料は大学生になった子ども本人が用いるケースが一般的です。
そのため、非監護親に対して子どもに関する費用を請求する場合は、養育費が用いられます。
- 扶養料とは、扶養義務を負う者が、扶養のために被扶養者に給付する金銭のこと
- 扶養料は、子どもだけでなく曾祖父母、父母、兄弟なども対象となる
- 扶養料は、未成熟子から非監護親に対して請求するもの