養育費の相場
養育費の相場
「離婚をしたいけれど、どれくらい養育費を貰えるのか不安…」「養育費の一般的な相場を知りたい」というお悩みは、意外と多くの方が抱えているのではないでしょうか?
離婚をすればその後の生活が一変してしまうため、後々のことを考えると、なかなか思い切った決断が出来ないというのは当然のことかもしれません。
このページでは、養育費の相場や算出方法について説明しています。
養育費を決める3つの要素
養育費は、両親の年収と子どもの年齢、子どもの人数に応じて変わります。
両親の年収に応じて変わる
養育費の額は、両親の年収によって変わる場合が一般的です。
養育費を支払う側の親(義務者)の年収が高い場合は、養育費の相場も高くなる場合が一般的です。逆に、年収が低い場合は支払う養育費の額も小さくなります。
年収が影響するのは、支払う側だけに限った話しではありません。
子を引き取って育てている親(権利者)の年収も、養育費の額に影響します。
子を引き取って育てている親(権利者)の年収が低い場合は、受け取る額が大きくなる傾向があります。
つまり、養育費は、義務者の場合は年収に比例し、権利者の場合は年収に反比例する傾向があると言えます。
ちなみに、義務者の転職などを理由に収入が下がった場合は、減額の申し出も考えられます。
一方、年収が上がった場合には、増額の必要性も出てきます。
子どもの年齢に応じて変わる
子どもにかかる費用は、成長するにしたがい大きくなるものです。
幼い頃は、少額でもある程度はやり繰り出来ますが、一定以上の年齢に達すると、どうしても費用がかさんでしまいがちです。
そのため、養育費を決める際は、年齢によって相場が変わるという考え方が一般的です。
子どもの人数に応じて変わる
もちろん、子どもの数が少ない場合よりも、多い場合の方が子育てにかかる費用はかさみます。
権利者は、未成熟子(子ども)の人数が多いほうが、受け取る養育費の額が大きくなります。
養育費算定表を参考にする方法
養育費は、「養育費・婚姻費用算定表」を参考にして算出方法があります。
「養育費・婚姻費用算定表」は、養育費と婚姻費用という2つの項目で分かれており、家庭裁判所で養育費又は婚姻費用の算定をする際に参考として活用されている資料のことです。
※ 上記のリンクをクリックするとPDFファイルが開きます。
※ PDFファイルを見るためには「Adobe Reader(アドビ・リーダー)」が必要です。
養育費算定表の使い方
この項目では、養育費算定表の使い方をまとめています。
養育費算定表
養育費算定表では、1~3人までの子の人数と、0~14歳と15~19歳の2区分という年齢に応じて表1~9に分かれています。
縦軸は養育費を支払う側(義務者)の年収を表しています。
横軸は支払を受ける側(権利者である子を引き取って育てている親)の年収を表しています。
縦軸の左欄と横軸の下欄の年収は、給与所得者の年収を表しています。
縦軸の右欄と横軸の上欄の年収は、自営業者の年収を示しています。
養育費算定表の図解
養育費算定表は、義務者と権利者のそれぞれの年収を線で結び、交差する点を相場とします。
上図は、義務者が給与所得者で年収350万円、権利者が給与所得者で年収200万円の場合を例に挙げています。
このケースでは、養育費は2~4万円が相場となります。
算定表の使用手順
- まず、子どもの人数と年齢にしたがって使用する表を選びます。
- 縦軸で義務者の年収額を探します。
- そこから右方向に線をのばし、横軸で権利者の年収額を探して上に線をのばします。
- この二つの線が交差する欄の金額が、義務者が負担すべき養育費の標準的な月額を示しています。
子どもの人数と年齢にしたがって使用する表を選択
養育費算定表は、子ども人数と年齢によって9種類に分かれています。
ご自身のケースに該当する表をご参照下さい。
給与所得者の場合と自営業者の場合
養育費を算出する場合は、義務者と権利者の年収を求める必要があります。
年収を求める際は、給与所得者の場合と自営業者の場合では異なります。
給与所得者の場合 | 源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収に当たります。 なお、給与明細書による場合は、それは月額に過ぎません。歩合給が多い場合などにはその変動が大きく、賞与・一時金が含まれていないことに留意する必要があります。 また、確定申告していない収入がある場合は、その収入額を支払金額に加算して給与所得として計算する必要があります。 |
---|---|
自営業者の場合 | 確定申告書の「課税される所得金額」が年収に当たります。 なお「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果です。 実際に支出されていない費用(例えば、基礎控除、青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を「課税される所得金額」に加算して年収を定めることになります。 |
ちなみに、児童扶養手当や児童手当は子のための社会保障給付です。そのため、権利者の年収に含める必要はありません。
また、養育費を算定する際は、生活保護費も収入として考慮されません。
子どもが複数の場合 一人当たりの求め方
子どもが複数人いる場合は、それぞれの子どもごとに養育費額を求めることができます。
その場合、まず算定表上の養育費額を出します。
そして、次に子どもの指数を使って導き出す必要があります。
子どもの指数とは
子どもの指数は、親を100とした場合の子に充てられるべき生活費の割合のことを言います。
これは、統計数値等から標準化したものです。
子の指数は0~14歳の場合には55、15~19歳の場合には90となっています。
子どもの指数を使った計算式(2人の場合)
養育費 × 当人の子どもの指数 ÷ (当人の子どもの指数 + もう一人の子どもの指数)
子どもの指数を使った計算式(3人の場合)
養育費 × 当人の子どもの指数 ÷ (当人の子どもの指数 + 二人目の子どもの指数 + 三人目の子どもの指数)
それでは、子どもが2人いる場合のケースを例に見ていきましょう。
養育費の全額が5万円で、1人の子が10歳、もう1人の子が15歳と仮定します。
これを計算式に入れて導き出すと、
10歳の子どもの養育費は、5万円 × 55 ÷ (55 + 90) = 約18,965円。
15歳の子どもの養育費については、5万円 × 90 ÷ (55 + 90) = 約31,034円。
となります。
では、次に子どもが3人いる場合を見ていきましょう。
養育費の全額が8万円で、1人目の子が15歳、2人目の子が10歳、3人目の子が5歳と仮定します。
これを計算式に入れて導き出すと、
15歳の子どもの養育費は、8万円 × 90 ÷ (90 + 55+ 55) = 36,000円。
10歳の子どもの養育費は、8万円 × 55 ÷ (90 + 55+ 55) = 22,000円。
5歳の子どもの養育費は、8万円 × 55 ÷ (90 + 55+ 55) = 22,000円。
となります。
養育費算定表一覧
養育費算定表は、1~3人までの子の人数と、0~14歳と15~19歳の2区分という年齢に応じて表1~9に分かれています。
ご自身に該当する表をご参照下さい。
養育費算定表 子1人表
(0~14歳)
養育費算定表 子1人表
(子15~19歳)
養育費算定表 子2人表
(第1子及び第2子0~14歳)
養育費算定表 子2人表
(第1子15~19歳,第2子0~14歳)
養育費算定表 子2人表
(第1子及び第2子15~19歳)
養育費算定表 子3人表
(第1子,第2子及び第3子0~14歳)
養育費算定表 子3人表
(第1子15~19歳,第2子及び第3子0~14歳)
養育費算定表 子3人表
(第1子及び第2子15~19歳,第3子0~14歳)
養育費算定表 子3人表
(第1子,第2子及び第3子15~19歳)
養育費の相場の具体例
養育費算定表を参考に、それぞれのケースで導き出される養育費の相場を紹介していきます。
子どもが1人いるケース
元夫の年収と職業 | 600万円 会社員 |
300万円 会社員 |
800万円 自営業者 |
---|---|---|---|
元妻の年収と職業 | 0円 専業主婦 |
200万円 会社員 |
100万円 パート |
子どもの年齢 | 8歳 | 15歳 | 18歳 |
養育費 | 6~8万円 | 2~4万円 | 14~16万円 |
子どもが2人いるケース
元夫の年収と職業 | 400万円 会社員 |
1,000万円 自営業者 |
500万円 会社員 |
---|---|---|---|
元妻の年収と職業 | 250万円 会社員 |
0円 専業主婦 |
100万円 パート |
子どもの年齢 | 10歳・8歳 | 16歳・12歳 | 16歳・16歳 |
養育費 | 4~6万円 | 22~24万円 | 8~10万円 |
子どもが3人いるケース
元夫の年収と職業 | 200万円 アルバイト |
350万円 会社員 |
600万円 自営業者 |
---|---|---|---|
元妻の年収と職業 | 350万円 会社員 |
300万円 会社員 |
0円 専業主婦 |
子どもの年齢 | 8歳・5歳・2歳 | 18歳・16歳・10歳 | 14歳・12歳・9歳 |
養育費 | 2~4万円 | 4~6万円 | 16~18万円 |
算定表はあくまでも目安
算定表は、公立の学校に通うケースを想定して作られています。
しかし、子どもの将来というものは、想定通りにはいかず、決まりきったものではありません。
また、収入面などについても、個人個人で様々な事情が考えられます。
そのため、養育費算定表は、あくまでも交渉をする際の目安として参考程度に捉えることおすすめします。
養育費の最終的な金額については、当人同士の話し合いによって決定されます。
- 養育費は、両親の年収と子どもの年齢、子どもの人数に応じて変わる。
- 養育費の算出方法は、「養育費・婚姻費用算定表」を参考する場合が一般的。
- 算定表はあくまでも目安。個々のケースに応じて異なる。