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養育費の増額請求について

養育費の増額請求について

養育費の変更

養育費とは、子どもが成人して自立するまでに必要になる生活費や教育費などのお金のことを言います。

子どもが幼年期(0~5歳)、少年期(6~14歳)の頃であれば、ある程度、養育費の見通しを立てることが出来ます。

そのため、子どもが小さい時は、初めに取り決めた養育費の金額で過不足なく生活できるケースも多いかもしれません。


しかし、子どもの年齢が上がるにつれ、可能性の幅も広がるため、初めに取り決めた養育費の金額では賄えなくなることもあります。


また、離婚協議時とは状況(主に収入面)が変わる場合もあるため、増額を検討せざるを得ない事態に直面する場合もあるでしょう。


そんな時は、養育費の増額を検討されることをおすすめします。

このページでは、養育費の増額請求を行う前に、予め理解しておきたいポイントについてまとめています。




養育費は増額請求できるの?

離婚協議時に、夫婦が納得の上で決めた金額であっても、相応の事情がある場合は、養育費の増額請求をすることが出来ます。

あらかじめ協議離婚書に、「養育費の増額を認める」という旨の一文が記載してあれば、よりスムーズに交渉することができます。


養育費の金額は、夫婦間の協議によって決まります。

そのため、どちらか一方の一存で金額の変更をすることは出来ません。


一度取り決めた契約を変更するためには、正当な理由相手側の理解が必要になります。


正当な理由とは

養育費の増額請求をするには、増額をするに至る正当な理由が求められます。

「単に生活が厳しい」「子どもに贅沢をさせたい」などの理由では、増額が認められることは少ないでしょう。


増額請求が認められやすいケースは、子どもが大病を患い、手術費用や入院費用がかさむ場合です。

また、進学するにあたって、入学金や授業料、その他諸経費が必要になるなどの場合も、増額請求を検討する上での十分な理由になります。


増額が認められやすい事例
  • 子どもの病気や怪我など、予想外の事態が起きた時に生じる費用(手術費、入院費など)
  • 子どもの進学(高校、大学、大学院、専門学校など)にかかる費用
  • 監護親の病気、怪我、離職などが原因で、著しく収入が減った場合

この他にも、特別な事情がある場合は、養育費の増額が認められる場合があります。


当事者間の合意が必要

養育費の増額に関する決定は、当事者間の合意が必要になります。


当事者間で合意がまとまらない場合は、裁判所に調停を申し立てをすることで決着をつけることが出来ます。


調停

調停(民事調停)とは、紛争当事者双方の話合いに調停員が介入して、お互いが合意することで紛争の解決を図る手続のこと。


調停で話しがまとまらない場合は、審判手続により裁判所に判断を委ねることになります。


審判

審判とは、家庭裁判所でなされる裁判のこと。

当事者から提出された書類や調査官の調査の結果等の資料に基づいて、裁判官が判断を決定する手続き。


このように、養育費増額の可否は、元配偶者との話し合いによって決定されますが、裁判所で第三者を介して話し合うことも出来ます。

どうしても話し合いで決着がつかない場合は、審判によって裁判官の決定を仰ぐことも可能です。


養育費増額請求の手順

養育費の増額請求は、手順を踏まえて行うようにしましょう。


増額請求は話し合いで

増額請求は話し合いで

養育費の増額請求は、当事者間での話し合いが基本です。

直接会って話し合うことが望ましいですが、難しい場合は電話で連絡を取り合いましょう。

この時、なぜ増額が必要になるのか、その理由を伝える必要があります。相手を説得できるだけの正当な理由で、十分な説明を行って下さい。


また、第三者が仲介役になることで、物事がスムーズに進む場合もあります。

一人で説得できるか不安な場合や、直接、相手と会うのがどうしても嫌な場合は、弁護士に依頼するのが効果的です。


この段階で合意に至った場合は、以降の手続きは不要です。

合意内容を書面に残しておくようにしましょう。


内容証明を送る

内容証明を送る

話し合いで交渉がまとまらなかった場合、もしくは相手が全く応じなかった場合は、増額に応じるよう内容証明を送り意思表示をしましょう。


内容証明郵便

内容証明郵便とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、郵便事業株式会社(日本郵便)が証明してくれる一般書留郵便物のこと。

一般の郵便物とは異なるものの、裁判所から送られる特別送達に比べると法的拘束力は低い。


内容証明郵便は、将来の調停や審判を想定して送付されるものです。

日本郵便が送付した内容を証明してくれるため、元配偶者に対して養育費の増額を求めた正当な証拠となります。


また、内容証明を送るということは、相手に対して本気度を伝えると共に、心理的なプレッシャーをかけることになります。

しかし、裏を返せば、宣戦布告をするという意味合いも含まれるため、話しがこじれる要因にもなりえます。

そのため、内容証明の送付については慎重を期すことが必要です。


養育費増額に関する内容証明のテンプレート

○○○○年○月○日

○○県○○市○○町○○-○○○

○○ ○○ 殿


●●県●●市●●町●-●●

●● ●● 印


私は、貴殿と○○○○年○月○日に協議離婚しました。

その際、貴殿が長男△△の養育費として毎月○万円を支払うことを取り決め、現在までその通りに履行されてきました。

しかし、△△も本年度より、□□高校へ入学し、養育費としては月額○万円では足りないのが実情です。

つきましては、養育費を月額○万円増額してくださるようお願い申し上げます。


調停

調停

内容証明郵便を送付しても物事が進展しなかった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てをすることで、解決を図ることが出来ます。

調停手続きは、勝ち負けを決めるものではありません。あくまでも、当事者が第三者(裁判所が選任する調停委員)を含めて話合いをすることで、紛争の解決を図る手続です。


養育費増額の調停手続きを申し立てる場合は、相手方の住所地にある家庭裁判所、もしくは当事者が合意して決めた家庭裁判所で行います。

また、申立書及びその写し1通、子の父母と子の戸籍謄本、申立費用を用意する必要があります。

申立費用の内訳は、対象となる子一人あたり収入印紙1200円、連絡用の郵便切手代です。郵便切手代については各裁判所によって異なるため、申立てされる家庭裁判所で確認してください。


審判

審判

調停手続きで話しがまとまらなかった場合は、引き続き家庭裁判所での審判手続きに移行します。

審判では、当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の行った調査結果などを含めた様々な資料を基に、裁判官が養育費増額の可否を判断します。


はじめから調停で合意が成立しないと分かっている場合は、調停手続きを経ることなく審判を申し立てることも可能です。


遅延損害金の扱い

ちなみに、養育費の支払いに遅延がある場合は、遅延損害金・延滞金を取ることが認められています。

離婚協議時に、遅延損害金の利率を定めている場合は、その利率が適用されます。

損害賠償に関して明確な取り決めをしていない場合は、原則、法定利率である年5.0%が適用されます。


※ 約120年ぶりの民法改正に伴い、2020年頃を目処に遅延損害金の法定利率は年3%に引き下げられる予定です。


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増額が認められたら書面に残す

相手が増額を認めてくれる場合や裁判所が養育の増額を決定した場合は、合意内容を書面で残しておくようにしましょう。

また、可能であれば、公正証書にしておくことをおすすめします。


書類を公正証書化しておけば、養育費の支払いが滞った場合でも強制執行が可能になるため、未回収を防ぐことが出来ます。


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まとめ

元配偶者(非監護親)の承諾があれば、慰謝料の増額は認められます。

しかし、養育費の増額は、非監護親にとっての負担増を意味することになるため、そう簡単に話しがまとまるとは限りません。

相手側に、増額に応じるだけの経済的な余裕があることが大前提となります。


また、一度話がこじれてしまうと、最悪の場合は養育費の支払い自体が停止することもあります。


養育費に限らず、お金に関する問題は揉めるケースが多いため、増額請求をする場合は弁護士に依頼する方が望ましいでしょう。

自分一人で行うよりも手間がかからず、成功率も上がるため考慮に入れることをおすすめします。


養育費 ポイント
  • 養育費は、増額請求をすることが出来る。
  • 養育費の増額は当事者間の合意が必要。
  • 話し合い → 内容証明 → 調停 → 審判の順で行う。
  • 決定した合意内容は、書面化、公正証書化しておく。

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