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養育費の支払い義務

養育費の支払い義務

養育費の法的根拠

養育費は、婚姻関係の有無に関わらず、その子どもが成長する過程に係わる費用を親が負担しなければいけないという考えに基づきます。

具体的な養育費の法的根拠としては、婚姻費用分担民法760条)、夫婦間の扶助義務民法752条)、子の監護費用民法766条1項)の三つがあります。


婚姻費用分担(民法760条)

夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。


婚姻費用の分担とは、夫婦がお互いに婚姻生活を維持するために必要な生活費を負担することを意味します。

もちろん、子どもの養育にかかる費用も夫婦が分担して負担する必要があります。


別居中の夫婦の間で、夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻費用の分担に関して、当事者間で話合いがまとまらない場合や話合いが出来ない場合は、家庭裁判所にこれを定める調停又は審判の申し立てをすることが出来ます。


夫婦間の扶助義務(民法752条)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。


夫婦が婚姻関係にある場合は、同居協力扶助という3つの事柄を定めています。

夫婦間に未成熟子がいる場合は、この子どもに対しても扶助義務があります。

また、別居中の夫婦、離婚訴訟が係属中の夫婦に関してもこの義務を免れることは出来ません。


子の監護費用(民法766条1項)

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。


夫婦が離婚をした場合は、民法766条1項に基づき、衣食住に関する費用、教育費、医療費等を支払わなければいけません。

監護親(子どもを監護する親)は、非監護親(子どもを監護していない親)に対して、養育費(子どもを育てていくために要する費用)を請求することが出来ます。




扶養義務

民法では、親族の扶養義務について定めています。


扶養義務者(第877条 1)

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。


親にとって子ども(未成熟児)は、直系血族であるため、扶養義務が生じます。


民法における親族の扶養義務については、生活保持義務生活扶助義務に分けて考えるのが一般的です。


生活保持義務

生活保持義務とは、扶養義務者に経済的な余力がない場合であっても、被扶養者に対して自分の生活と同質で同程度の生活を保持させる義務のことを言います。

未成熟子や配偶者に対する義務がこれに当たります。


つまり、非監護親は、子どもが生活をしていくための必要最低限の扶養義務ではなく、扶養を受ける者にも自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を保持させる義務を負います。


生活扶助義務

生活扶助義務とは、扶養義務者が経済力に余力がある場合、要扶養状態にある権利者に対して、健康で文化的な最低限度の生活を援助する義務のことを言います。

生活扶助義務は、未成熟子・配偶者以外の親族一般に対する義務とされおり、義務者の生活に余裕のある範囲内で果たせばよいとされています。




未成熟子の支払義務(扶養義務)については、前者の生活保持義務を根拠としています。

養育費の支払いは、親としての義務であり、子供にとっては権利です。

たとえ自己破産をしたとしても、養育費の支払い義務を免れることはできません。


養育費や慰謝料は、自己破産における非免責債権とされています。


非免責債権

非免責債権とは、自己破産を申し立てて裁判所から免責許可決定を受けた場合でも、支払義務が免除されない債権のことを言います。

非免責債権に該当される債権については免責の対象外であるため、自己破産をしても支払いを続けなければいけません。


破産法第253条 1

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

  • 一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
  • 二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
  • 四 次に掲げる義務に係る請求権
    • イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
    • ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
    • ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
    • ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
    • ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
  • 五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
  • 六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
  • 七 罰金等の請求権

参照元:破産法 - e-Gov法令検索


養育費が非免責債権であるとする根拠は、「破産法第253条 1項の四 ハ」にあります。

つまり、権利者である監護親は、たとえ非監護親が自己破産をした場合でも養育費を請求することが出来ます。


ただし、自己破産をしたことにより、最初に取り決めた養育費の額を支払うことは困難であることが予想されます。

場合によっては、減額に応じなければいけないこともあります。


いずれにしても、親はどのような理由があっても子どものために養育費を支払う義務があります。


たとえ離婚をした場合でも、相手側には必ず養育費を支払ってもらわなければいけません。

養育費を巡るトラブルを極力回避して請求したい方というは、法律の専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。


養育費 ポイント
  • 養育費の法的根拠は、婚姻費用分担(民法760条)、夫婦間の扶助義務(民法752条)、子の監護費用(民法766条1項)の三つがあ。
  • 親族の扶養義務については、生活保持義務と生活扶助義務の二つがある。
  • 養育費は、非免責債権なので自己破産をしても支払い義務は残る。

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